青鬼をあとにしてJR信濃森上駅あたりまで下りてくると、その東側の山腹にもうひとつ 「野平」 という集落が見えたので地図を見ながら山道へと入っていく。
集落はこじんまりしているものの、棚田は大規模に整備されてしまっているので山村の雰囲気はいまひとつ。でも白馬連峰方面の視界のひらけ方がすごいのでパノラマを楽しむには絶好の場所かもしれない。
集落の最奥に “いろり塾 2km” と描かれた看板があり、「えっ!? こんな奥地からさらに2キロだと!?」 と探検気分をそそられながらダートの林道を進んでいく。
すると谷の向こうに大きな茅葺屋根が見えてきた。
白馬村菅入(すげいり)
盛期には20棟ほどの集落だったそうだが、今は住人もなく朽ちた6~7棟の大型家屋が残る廃村となっており、遠い昔から時が止まってしまったような光景。
興味を持って山に入らなければ、おそらく誰も知る由もない集落であろう。
廃村という景色と言葉には、踏み入った人にしか味わえない色んな感慨を覚える。
栄枯盛衰、愛郷心、懐古心、そして集落を捨てた絶望感、などなど。色んな思惑がこの情景の中にあったのだと。
幸い 「いろり塾」 と名がついた、ひときわ大きな茅葺家屋だけは現在も陶芸や蕎麦打ちなどが体験できる施設となっているため、人の手が加わっていることが有難い。
集落を見下ろす林道からは、茅葺屋根の横に残雪を抱いた白馬連山が望めるので次回の楽しみにとっておこうと思う。