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北信州ぶらり ~幻のそば~
お盆を休まず2週間働きまくった自分への慰安休日は、北信は飯山市にある 「富倉(とみくら)」 という集落まで幻の蕎麦を求めてのんびりドライブ。
群馬側は霧と雨だったが、志賀高原を越えたとたん空は快晴に♪
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写真中央にうっすら雲がかかっているのは、長野・新潟県境にある関田山脈。
南西端の斑尾から北東端の新潟県松之山町まで総延長80キロの信越トレイルが稜線伝いに整備されており、最近のトレイルランブームなどで脚光を浴びてきている。いつか新潟県側から数日間かけてトレイルを縦走し、並行する千曲川をカヤックで下ってみたいというのがちょっとした夢(笑)
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「富倉」 という集落は飯山市から上越市を結ぶ国道292号にあり、山深い数十軒ほどの山村。そこには何軒かの蕎麦屋があるのだが、店というよりは民家という呼び方のほうが正しいかも。

周辺に点在する茅葺家屋、民家の軒先のような、そして元気なお婆ちゃんが店を切り盛り。そんな三拍子そろったロケーションの 「はしば食堂」 を以前からチェックしていたので伺ってみた。
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窓から室内を通り抜ける風、BGMはセミの合唱と庭先の池に湧き水が流れ落ちる音。そして素晴らしく活舌がよくハキハキしたお婆ちゃんとの蕎麦などのよもやま談議。
平日の昼間でよかった、、もう幻のそばを求めて来たというのはどうでもよく、このロケーションのこの店で、こんな雰囲気とお婆ちゃんに会えただけで嬉しくなった。
御歳80歳、30年間も麓の街で土建業の仕事をした後に、この店を平成元年に開店させて23年。。定休日が無いのは 「こんな山奥まで来てもらって、休んでいたら申し訳ないでしょ」 との言葉。そして80歳にはまったく見えない若さの秘訣を伺うと、「お客様をお迎えする気持ちとお見送りする気持ちだよ!」 と笑いながら即答だった。
蕎麦のことよりも、貴重な商売の姿勢・言葉に心を打たれたのは言うまでもない。

念のためこの 「富倉そば」 について語っておこうと思うが。
幻のそばという由縁は、上杉謙信の鉄砲隊の火縄銃の口火に使われた 「雄山火口(オヤマボクチ)」 というヤマゴボウの繊維が蕎麦のつなぎとして使われ、生産農家だけ、もしくは山深いこの土地まで来なければその蕎麦を食べる事ができないというのが稀少・幻を意味している。
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そしてさらに話を続けると、そもそもつなぎに使用する小麦を生産できない痩せた土地だったから、蕎麦の栽培を始めたこと。さらにつなぎとなるオヤマボクチは、煎じて葉を溶かして葉脈の繊維だけを残し、それを乾燥させたものを再度水で溶かして繊維を取り出し、叩いて粉にするという、気が遠くなるような手間ヒマをかけて作られていることが 「幻」 に通じていくのだ。ツルツルした光沢でもちろん風味は絶品。
またこの富倉・飯山にはもうひとつの名物 「笹寿司」 という名物があるので注文してみた。
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その土地ならではの製法で作った稀少の蕎麦、そんな古くから伝わる蕎麦をお婆ちゃんが古民家の軒先で出してくれる。そんな一連のストーリーを周囲に感じながら食べることができるから美味しいんだろうな。
お婆ちゃんが作る幻のそば、気になるようでしたら北信州まで足をのばしてみては。


「はしば食堂」
住所:長野県飯山市滝ノ脇3206
時間:時間は決めておらず、お客様がいれば営業(年中無休)
料金:そば並¥800、大盛り¥1,000、笹ずし¥600

by mm_500 | 2011-08-23 00:21 | 料理・食べもの
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